クラウドファンディングとは何か?ここでは、「これからクラウドファンディングに挑戦したい人(起案者)」「クラウドファンディングで支援してみたい(支援者)」といった、初めてクラファンにチャレンジしたいと思っている初心者の方にできるだけ簡単にわかりやすく解説しています。
クラウドファンディングとは?【特徴・仕組み】
クラウドファンディングとは、インターネットを通じて、個人や企業などが、想い、夢、アイデアを伝えることで、それに賛同する不特定多数の人たちに支援してもらうことで資金調達を行なうことです。また、それを行えるネットサービス自体もクラウドファンディングと言われています。近年、新しい資金調達の方法として注目を集めています。
クラウドファンディングの仕組み
- 起案者とは?
クラウドファンディングを行なう人のことを「起案者」といいます。
- 支援者とは?
クラウドファンディングで、お金を出す人のことを「支援者」と言います。
起案者の想いやアイデアなどに共感し、支援者がお金を出すことで、資金調達する仕組みがクラウドファンディングです。
クラウドファンディングの語源の意味とは?
クラウドファンディングは、その語源を知ると、「クラウドファンディングとは何か?」が簡単に理解しやすいと想います。
クラウドファンディングは、英語で、「crowdfunding」といい、「crowd(群衆)」と「funding(資金調達)」を組み合わせた造語です。
このように、群衆から資金調達するのがクラウドファンディングの語源・意味です。
「銀行など金融機関の融資」「ベンチャーキャピタルの出資」との違い
資金調達の方法としては、銀行などの金融機関からの融資、または、ベンチャーキャピタルなどからの出資を受けるのが一般的でしたが、これらの方法では、高額な資金調達が可能であったとしてもハードルが高いといった特徴がありました。
クラファンで資金調達する特徴
従来の銀行融資などの資金調達と違い、クラウドファンディングは、不特定多数の人に対して「手軽に」「拡散性が高い」といった特徴があります。
さらに、銀行の融資の場合は、返済が必要になりますが、「購入型」や「寄付型」のクラウドファンディングでは、リターンというお礼(特典)を準備すれば、資金の返済が必要ない方法もあるのが特徴です。
※注:融資型、投資型など、返済が必要なクラウドファンディングもあります。
クラウドファンディングの歴史
現在のクラウドファンディングの発祥はアメリカ
現在のクラウドファンディングのはじまりは、2001年にアメリカの「ArtistShare」が最初だと言われています。その後、2008年の「Indiegogo」や2009年の「Kickstarter」は、世界最大のクラウドファンディングとして発展し、多くの人に利用されるようになりました。
日本では2011年にスタート
日本ではクラウドファンディングのサービスを提供するサイトが登場したのは2011年です。
- 主要なクラファンのサービス開始時期
- 2011年3月:Readyfor
- 2011年6月:CAMPFIRE
- 2013年8月:Makuake
特に、東日本大震災があった年ということで、復興支援を目的としたクラウドファンディングが一気に広まりました。
その後、2013年に株式会社サイバーエージェントによって、「Makuake」がサービスを開始など、現在では、数多くのクラウドファンディングの会社が設立、サービスの提供を開始し、テレビなどでも紹介されるようになり今では、一般的に知られる資金調達の1つの方法になっています。
クラファンの仕組みじたいは昔からあった
クラウドファンディングという言葉自体は比較的新しいものですが、その仕組は、日本やアメリカ、フランスなど世界的にも古くからある仕組みでした。
東大寺(日本)
日本では、1180年、僧の重源が、源平の騒乱で焼失した東大寺と大仏の修復・再建のため、全国各地を周り信者や有志から少額ずつの寄付を集め大仏殿の再建を行っています。
自由の女神(アメリカ)
アメリカの自由の女神の台座建設は、資金が底をつき建設が難しくなりました。そこで、新聞の紙面で広く大衆に資金の寄付をもとめ、125,000人が、一人あたり1ドル以下の寄付をし、6ヶ月で10万ドル近くを集めた事例もあります。
ルーブル美術館(フランス)
フランスのルーブル美術館では、著名なアーティストの絵画の購入、作品の修復などの費用の寄付を募り、国の予算だけでなく、市民の力で維持していこうといったプロジェクトの事例もあるようです。
クラウドファンディングという言葉ができたのは近年のことですが、その仕組じたいは昔から活用されていた方法でした。
クラウドファンディングの市場規模と現状
株式会社矢野経済研究所の「国内クラウドファンディング市場の調査を実施(2021年)」の調査によると、日本国内のクラウドファンディングの新規プロジェクトは、支援額ベースで、日本でクラウドファンディングが広がり始めた2014年から2018年にかけては右肩上がりで、2019年は少し落ち込みましたが、2020年には、2018年と同等程度と利用者が増えています。
一般社団法人 日本クラウドファンディング協会の「クラウドファンディング市場調査報告書」を見ると、落ち込んだ原因は、融資型・不特法型クラウドファンディングの落ち込みの要因であると見れます。
日本クラウドファンディング協会の「購入型クラウドファンディング市場調査の推移」の資料を見る限り
- 2017年:77億円
- 2018年:115億円
- 2019年:169億円
- 2020年:501億円
と、購入型のクラウドファンディングは注目を集め多くの人に利用されています。
※参考:国内クラウドファンディング市場の調査を実施(2021年)
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2727
※参考:クラウドファンディング市場調査報告書
http://safe-crowdfunding.jp/wp-content/uploads/2021/07/CrowdFunding-market-report-20210709.pdf
クラウドファンディングのタイプ別の種類
クラウドファンディングには、大きく分類すると、「非投資型」「投資型」の2つに分かることが出来ます。さらに、資金や支援者へのリターン(特典・お礼)などのタイプによって、6種類に分類することができます。
クラファンの種類一覧
- 購入型
- 寄付型
- ふるさと納税型クラウドファンディング
- 金融型
- 融資型
- 株式投資型
- 金融型
- ファンド型
購入型クラウドファンディング
購入型は、支援者に、お返しとして「モノ」「サービス」「権利」という形でリターン(特典・お礼)を提供する形式のクラファンです。「新商品開発」「新サービスの開発」などの「開発・製造資金を集める」ために先行販売的に利用されているケースが多く見受けられます。
寄付型クラウドファンディング
寄付型は、支援者から寄付という形式でお金を受け取り、リターンはないクラファンです。「感謝のメール」「活動報告」などをリターンとして設定しているケースもあります。「被災からの復旧支援」「途上国支援」など、支援者に資金的援助を寄付してもらうときに活用するのが寄付型になります。
ふるさと納税型クラウドファンディング
ふるさと納税型は、自治体が解決したい課題をプロジェクト化し、共感した支援者には、ふるさと納税をリターンとして準備する形式のクラファンです。ふるさと納税を活用することで、支援者は、寄付金の控除を受けることができるのが特徴です。
金融型クラウドファンディング
金融型は、株式発行やファンドのメカニズムを利用して資金を募る方法です。金融型には、「融資型」「株式投資型」「ファンド型」などの種類があります。金融型を行なうクラウドファンディングサイトの事業者は、資格や登録などが必要になります。
- 融資型クラウドファンディング
融資型は、クラウドファンディングサイトの事業者が、支援者から出資金を集め企業に貸し付ける形式のクラファンです。融資するので、支援者には利息として金銭的なリターンを得るメリットがありますが、元本割れのリスクもあります。
- 株式投資型クラウドファンディング
株式型は、非上場企業の株式をリターンとして支援者に提供する形のクラファンです。ベンチャー企業をスタート時点から応援できるメリットはありますが、非上場であるため株式が自由に売買できず、元本割れのリスクがあります。金銭的なリターンの金額・利回りは、「元本+利息」で計算されます。
- ファンド型クラウドファンディング
ファンド型は、個人投資家から出資を募る形式で、金銭的なリターンに加え、その事業で作られたモノやサービス、割引券などを受け取ることができる場合があります。金銭的なリターンの金額は、利回りは、「売上に基づく分配金」で計算されます。
クラウドファンディングの種類は目的で選ぶ
クラウドファンディングは、多きく分類すると「購入型」「寄付型」「金融型」「ふるさと納税型」の種類があります。それぞれ、「寄付をつのる」「新しいサービスを提供する」「新商品の販売」「テストマーケティング」「資金調達」などの目的によって選択するクラファンの種類が決まります。
クラウドファンディングのメリット・デメリット
起案者のメリット
- 銀行融資が無理でも賛同を得れば資金調達が可能
- 金融機関やベンチャーキャピタルよりハードルが低い
- 現金以外で自由にリターンの設定が可能
- 宣伝効果が得られる
- テストマーケティングに利用できる
- ファンを獲得することができる
- 経歴・実績がなくても資金調達が可能
- 情熱・想い・アイデアで資金調達が可能
個人でも資金調達ができるのができるのがクラウドファンディングの最大のメリットです。アイデアや想いを大勢の人に伝えることで、共感を得て支援してもらえるため、自分ひとりでは実現しにくいプロジェクとでも、多くの支援者と繋がることで支援を受けチャレンジすることができます。
特に、前例が無いような新しい取り組みをしたい場合、銀行などの金融機関は、どうしても慎重になり融資を受けるのが難しことがあります。クラウドファンディングなら、あなたの想い・アイデアを伝えることで、支援者に賛同を得ることができれば資金調達ができるため、融資よりも資金集めのハードルが低いともいえます。
また、新商品の開発時など、テストマーケティングとしてクラファンを活用することで、大量に製品を生産する前に市場に求められているかテスト販売として確認することができます。
起案者のデメリット
- プロジェクトが失敗する可能性がある
- 資金が集まらない可能性がある
- リターンが期待以下だと信用をなくす可能性がある
クラウドファンディングの実施方式によっては、目標金額に達しない場合は資金調達ができない可能性があります。さらに、基本的に、集まった資金の支払いはプロジェクト終了後、1ヶ月程度後になるので、すぐに入金されるわけではないのでキチンと計画を立てておく必要があります。
また、支援者へ約束したリターン(お礼・特典)、資金の使い道は、クラファンの紹介ページで約束した内容を守る必要があります。当初、開発予定の商品の品質が、クラファンの紹介ページで説明したモノより劣るとトラブルになり社会的な信用をなくすこともあるので注意が必要です。
支援者のメリット
- 少額から支援することが可能
- 様々なリターンを得ることが出来る
- 一般販売前の新商品を購入できることがある
- 一般販売より安く購入することができる
- プロジェクトに参加している感じが味わえる
少額から参加できるプロジェクトが多いため、応援したいプロジェクトを個人でも支援しやすい傾向があります。また、クラファンのプロジェクトごとで様々なリターンを得ることができるのも支援者のメリットの1つです。
また、一般的な通販サイトと比較すると、作り手の顔がSNSや活動報告などを通じて見えやすく、自分が投じたお金の使い道などを確認しやすくなっています。これにより、支援者は「共感したプロジェクトに参加できている」といった満足感をえることができます。
支援者のデメリット
- リターンが得られないことがある
- 原則的にキャンセルすることができない
- 応援したプロジェクトが実行されないことがある
クラウドファンディングの実施方式が「All-or-Nothing」の場合、目標金額に達しないとプロジェクトは実施されません。そのため、せっかく支援していたのに、目標金額に達しなかったことで、プロジェクトが中止になりリターンが受け取れないことがあります。
また、一度、支援するとその後、原則的にキャンセルできないケースが多いので注意が必要です。さらに金融型の場合、企業の情報などが少なく判断しにくいこともあります。
クラウドファンディングの実施方式
クラウドファンディングの実施方式には「All or Nothing型」「All In型」の2種類あります。
All or Nothing型
目標金額に達成しなかった場合は、プロジェクトが実施されずに終了となります。
- 起案者
支援額が目標金額に達しなかったため、プロジェクトが実施されません。
- 支援者
プロジェクトが実施されないため、リターンを受け取ることが出来ません。支払った支援金は返金されます。
All In型
目標金額の達成の有無にかかわらず、支援金を受け取りプロジェクトが実施されます。
- 起案者
目標金額に達成しなくてもプロジェクトで集まった支援金額を受け取ることが出来ます。ただし、起案者は、実施の義務を負うため、約束したリターンを支援者に提供する義務が発生します。
- 支援者
支援金の集まった金額に関わらず、リターンを受け取ることが出来ます。
クラウドファンディング 始め方の流れ
クラウドファンディングの始め方は、「起案者」と「支援者」によって流れは違います。
起案者の場合 の流れ
- クラウドファンディングサイトを選ぶ
- 申し込み・担当者と相談
- プロジェクトページの作成
- 公開前の事前告知
- プロジェクトページ完成後
- 公開しクラファンスタート
- プロジェクトを拡散・支援者を集める
- プロジェクト終了
- 集まった資金でプロジェクトを実行
- リターンの発送・提供
支援者の場合の流れ
- 色々なクラウドファンディングサイトを見る
- 気になったプロジェクトをチェック
- プロジェクトページの内容を確認
- リターンの詳細を確認
- 気に入ったプロジェクトを支援し決済
- クラファン終了後、活動報告などでプロジェクトの進捗を確認
- リターンを受け取る
起案者の場合は、クラウドファンディングサイトを選んだ後も、自分が実施しようと考えているプロジェクトと似たプロジェクトが成功しているのか?どのようなコンセプトやリターンだと、多くの支援者が応援してくれるのかを確認しておきましょう。
自分では、これなら多くの支援が集まると思っても、実際に、クラウドファンディングを実施すると、全然、支援が集まらないケースもあります。事前にリサーチをし、どのようなコンセプト、リターンなら多くの支援を集めることができるのかは、クラファン成功の大切なポイントになります。
クラウドファンディングの注意点
起案者の注意点
一般的なクラウドファンディングの場合、一度、公開してしまうとクラファンページ(プロジェクトページ)はロックされ、簡単に変更することはできません。
そのため、プロジェクト公開前に、
- リターンの内容
- リターンの発送期間
- リターンの金額
- リターンの数
など誤りがないか、しっかりと確認しておきましょう。
購入型のクラファンの場合、当初の予定より生産が遅れ、トラブルになることもあるので慎重にクラファンページ(プロジェクトページ)を作りましょう。
また、プロジェクトの内容によっては、景品表示法、薬事法など、法的に表現が制限されていることもあるので法的な観点も注意する必要があります。
支援者 の注意点
支援者の注意点としては、クラファンのリスクでも述べたとおり、一度、支援してしまうと原則、キャンセルできません。そのため、特に、高額な支援をする場合は、プロジェクトページを隅々まで確認し、後で、思っていたものと違ったとならないように注意する必要があります。
また、一部のクラファンサイトでは、支援者側が決済手数料がプラスされることがあります。最終的な支払額がいくらになるのか、確認のうえ支援を行いましょう。
まとめ
クラウドファンディングは、資金調達として、既存の銀行などの金融機関の融資などと比較してハードルが低く、個人でもアイデア、発想、想いがあれば大きな資金を集めることが出来る効率的な方法です。
特に、近年になり、購入型や寄付型の支援額が増える傾向にあり、起案者としては、新しい商品やサービスのPRやテストマーケティングなどの先行販売として活用されるケースも増えています。また、途上国や被災地などへの寄付を集める方法としても多くの方に利用されています。
支援者にとっても、今までになかった新しい商品やサービスをいち早く購入できるチャンスであったり、賛同できるプロジェクトを応援できると言った新しい楽しみ方を体験することができます。
このようなことから、今後も、クラウドファンディングは、多くの方に活用されていくのではないかと考えています。